Kota

天気の子のKotaのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
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めも

いろんなメタファー、暗示、問題提起が散りばめられた映画だったように思う

〈自己責任、個人主義が蔓延し、息苦しくなりつつある今の社会へのアンチテーゼ?〉

君の名は以上に徹底的にリアルな新宿を描き、現実との乖離を感じさせない世界描写。君の名はみたいに優しい人たちだけじゃなく、子ども相手なのに冷徹な警察官や、容赦ない新宿歌舞伎町のボーイ、警察沙汰になるのを避けてか、子どもたちの泊まり先を提供しないホテルなど。
そうやって、「この映画の世界観はリアルなんだ」と思わせておきながら、主人公もその周りの人たちも犯罪まがいのことを割と平気でしだす。
警察を殴ったり、指名手配の主人公をバイクに乗せたり、感動シーンとはいえ駅の上を走ったり。
ずっとリアルな世界観できたから、観客からすると、「え、普通に犯罪なんだけど。やばくない」となる。
でも、制作側はそれを狙っていた気がする。現実世界と地続きのリアルな世界観を映画の中に作りつつ、現実世界でやったら犯罪になるようなことを、なりふり構わず主人公たちにさせる。常識をかなぐり捨てて、自分たちのしたいように振る舞わさせる。現実にはできないけれど、このくらい自分勝手な行いをしているのが、だんだん清々しく見えてくるから不思議だ。
きっと、あらゆるものが規制されて、安全安心の名の下に自由や余裕がなくなっている昨今の社会に対する挑戦のように感じられた。


〈子どもたちにドライな大人たちと、理屈ではなく自分の感情だけで動く子どもたちの対比〉


〈晴れる理由を知らない大人たちが、陽菜を助けようとする穂高の足を引っ張る。それを同じ大人である須賀が最後には助ける〉

〈現実と地続きのリアルな世界観の中で、犯罪まがいのことをさせる浮世離れした描写〉


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