えいがドゥロヴァウ

プリデスティネーションのえいがドゥロヴァウのレビュー・感想・評価

プリデスティネーション(2014年製作の映画)
3.7
タイムパラドクスを破綻させずに整合性を保つためには
限定条件をしっかりと設定することだ、と示している秀作
それが上手くいかず駄作に成り下がっているのが『LOOPER/ルーパー』
(あちらはSFではなくて「SFアクション」でしたね)
原作はロバート・A・ハインラインによる1959年の短編小説
原作のほうは短編ということもあり
ドラマを深く掘り下げずにタイムパラドクスの妙味を高純度で味わえる作品といった印象でした
大きな脚色は原作では登場しない爆弾魔の存在で
映画化にあたって主人公の行動に大義を与えつつ
物語の主題に組み込むことによって骨格を押し広げて新たな因果を創り出すことに成功しています
それ以外の設定や展開は原作にとても忠実で
優れた映画化と言えるのではないでしょうか
主人公の行動は奇特に映るものの
すべてに理由があり、それが宿命なのだと腑に落ちるのです
観ながら「火の鳥」のとある一編が頭の中をひたすらグルグルグルグル…
主人公は哀れだけれど
超個人的な感想で一言言えば「存在そのものがクソキモい」

劇場公開時は古典の映画化ということに対して懐疑的だったので観ていませんでした
『ガタカ』を観てイーサン・ホーク×SFの組み合わせに信頼感が増したのは間違いありません…
原作を知らないほうが絶対に楽しめます

主人公は男を愛し子供を愛し女を愛し自分を愛したのですね
その実、とてもとても孤独
ところで、赤ちゃんというのは男女がベンチに座ってキスをしているだけで出来るものなのですか?