弟二郎

スポットライト 世紀のスクープの弟二郎のレビュー・感想・評価

4.9
公開されてからにしようと思ってたけど作品賞採ったんで舞い上がった。アップしてしまおう。アカデミー賞前にあちらでBlu-rayリリースされたので待ち切れずに見ました。邪道でごめんね。素晴らしかった。文句の付けどころがない。

マスコミ嫌いの人間としてはこういうスクープものには一方的で偏狭なヒロイズムの臭味を感じてしまうものだけど。この映画にはその臭いが一切しない。ただ滔々と怒りを積み上げていくようなこんな映画はちょっと見たことがない。

イマイチ気な滑り出しから徐々に熱さを帯びてく昨年のウチのヒーローおっさん二人キートン&ラファロ。レイチェル・マクアダムスもスタンリー・トゥッチもいい。おまけにウルヴァリンのイマイチな兄ちゃんまでもがいぶし銀の存在感。

トム・マッカーシー監督グレイト。良作『扉をたたく人』では終盤ちと青さを覗かせてしまった残念感を残したものの、今回は文句なし。いつの間にかスルーしてた『WINWIN』も『靴職人と魔法のミシン』も見なきゃなあ。

うがった見方をすれば強大な力を持ったユダヤ贔屓(この監督はカソリックらしいけど)がキリスト教の恥を広めたととれなくもないけど。問題が問題で。そんなもん端の議論に思えるほどに見てるこっちまで静かに怒りがこみ上げてきて。

我が子、いや我が身にも起きたかもしれないと示唆し、なぜそうなったかにも説得力ある考察を見せ、挙句怒りだけではなく教会が心に根付いてなどいないバチ当たりな私如きにも十分に伝わるカソリックの悲しみも浮き彫りにしてみせる。素晴らしかった。

あと撮影監督が日本人。マサノブ・タカヤナギ。これも悪くなかった。
弟二郎

弟二郎