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スポットライト 世紀のスクープのAtoZのレビュー・感想・評価

5.0
アカデミー賞受賞後数年たった後に鑑賞した。
この淡々と、堅実に取材を重ねる描写がとにかく好きだ。
主演した役者陣の抑えた、でもマグマのような情熱を裏に隠した演技も必見。

会話劇やインタビューの場面が多く起伏がないドラマかと思ったら大間違い。
被害者の受けた性的虐待の内容にはあまり触れず、記者側の目線に立って
記者たちと同じく暗中模索の中、視聴者も彼らと一緒に東奔西走する。
彼らは足で稼ぎ、吐き気のするような現実を何度も突きつけられる。記者の視線を通して私達はこの事件を追体験している。
そうして、被害者の苦しみや苦悩に触れ、こう胸に誓う。
絶対にこの事実をつまびらかにし、犯罪者を白日の元に晒してやる、と。
きっとボストン・グローブの記者たちも同じ思いをしたに違いない思いとシンクロする。

映画の結末は一応の勝利で終わるが、事はまだ終わっていない。
これ以降の物語は、現代の我々が紡いでいかなくてはいけない。


ちなみにNetflixに「The Keeper」という同じ主題を取り扱ったドキュメンタリーがある。
これも正真正銘ノンフィクションの事実であり、現在進行系の事件だ。
被害者が直接カメラの前に立って、勇気をもって自分が「何を」されたか訴えかけてくれるのだが、その虐待の凄惨さたるや、怒りにくらくら目眩を覚える。

きっと記者たちも、似たような話を聞いていることと思うが、
スポットライトでは語られなかった、空いた口が塞がらないような、人として最低最悪の虐待の一面を知りたいのなら合わせて観ることをおすすめする。
私は視聴時、あまりの胸糞悪さと怒りで眠れなくなったくらいだ。どうか視聴は自己責任で。
こういった類の事件が早く解決するよう切に願う。
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