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ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生のnetfilmsのレビュー・感想・評価

3.6
 夢のようなアメリカ旅行から故郷へと戻った魔法動物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、英国の地で羽を伸ばすかと思いきや、また新たな困難に見舞われる。何とか捕らえたはずのゲラート・グリンデルバルド(ジョニー・デップ)が欧州への移送の最中に逃げたのだ。ペナルティとして受け入れざるを得ない条件として英国魔法省への入省を拒否するニュートは旅行禁止命令をまんまと破り、英国の隣国であるフランスへと一路向かう。一方その頃、アメリカで幸せに暮らしていたジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー)とクイニー・ゴールドスタイン(アリソン・スドル)のカップルは久しぶりにニュートの元へとやって来る(パン屋はどうした?)。アメリカでの奇跡のような出会いから間髪入れずに親友との再会を果たしたニュート・スキャマンダーだったが、そこには愛したはずのティナ・ゴールドスタイン(キャサリン・ウォーターストン)はいない。ティナとの再会とグリンデルバルド討伐を目論む主人公の逸る気持ちは既に夢のようなパリの地にあった。

 『ハリー・ポッター』のスピン・オフとなるシリーズ第二弾は、ニューヨークを舞台にした前作から一転し、闘いの地をパリに移す。夢のような別れを経験したニュートとティナの2人はあの頃の気持ちを持ち合わせているように見えてすれ違う。ティナは、クリーデンスの出自の鍵を握るユスフ・カーマ(ウィリアム・ナディラム)を探す目的でパリの地へ足を踏み入れたが、ふわふわしたニュートは彼女の目的に付き添うことであらためて巨大な敵と向き合うのだ。ニューヨークの街に溢れ出した魔法動物たちをコミカルに描いた前作とは打って変わり、ここにはまるで『スター・ウォーズ』のような出自にまつわるドロドロとしたソープ・オペラが繰り広げられる。哀しみを背負いしクリーデンス・ベアボーン(エズラ・ミラー)の驚くべき血筋も明らかになり、主人公は兄弟や幼馴染、そして自身の将来を決め兼ねない今後についても重大な決断を迫られるのだ。さながらグリンデルバルドはダース・シディアスで、すべての魔法使いに光か闇かどちらかを選ぶよう決断を迫る。前作のラストがニュート・スキャマンダー一向に花を持たせる形だとするなら、今作はグリンデルバルド側の逆襲が始まる。グリンデルバルドの闇堕ちのエネルギーは幸せだった人々を分断し、途方もない新たなステージへとニュート・スキャマンダーを導く。新キャストとなるアルバス・ダンブルドア(ジュード・ロウ)も期待十分だが、ラスト30分はジョニー・デップの独壇場だ。
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