ゴン

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生のゴンのレビュー・感想・評価

3.5
五部作まで決まっている内のファンタビ二作目。
前作から少し時間が空いたところから始まり最悪の魔法使いグリンデルバルドが脱走にロンドンの街(パリも)に放たれる。
まず、メインヴィランを演じたジョニーデップについてだが自分の予想を上回りかなりハマり役だったと思う。
ここ最近ジョニーの私生活の良くない噂とパイレーツシリーズの失速からアンチが大量に湧いており、JKローリングのところにまで彼をキャスティングするのをやめろとの声が届いたとの話まで聞いていた。
しかし、逆に言えば良い意味で期待してなかったわけだが、ヴォルデモートとはまた違った感じで掴み所のないキャラクターであり、彼よりは口が上手くズル賢さを感じた。
役者本人の魅力とキャラ像が上手く融合して、多くの信奉者を抱えていたようにカリスマ性が抜群だった。
ぜひシリーズ終盤まで出演してジャックスパロウに次ぐ代表的な役にしてほしいところだ。
そして、今作はハリーポッターシリーズとの関係性が密であり、それらに関連した伏線が多かった。
若きダンブルドア(ジュードロウが美形すぎた)が登場するのはもちろん、ナギニ、レストレンジ一族など。
そろそろ旧シリーズの復習いるかなぁ。
そして魔法動物は前作に比べて少し出番は減ったが相変わらず愛くるしい。

ここまでが精一杯の賛辞。
ここから厳しいことを少々。
正直、かなり眠かった。
というのもSFファンタジーにしてはドラマパートとそれ以外のシーンの比率が悪すぎる。
今作の見所シーンなんてグリンデルバルドの集会〜みんなで街を防衛するまでの15分間くらい。
あとは次作以降につながりそうな伏線がちょいちょいあるくらいであとは辛気くさい顔してずっっっと立ち話。
正直、ハリーポッターシリーズ後半から指揮を取っているデビッドイェーツの作風があんまり好きじゃなく、ダークファンタジーと言えどここまでクスリともできないシリーズにするべきなのか甚だ疑問である。
あとはやはりマグルを支配したいグリンデルバルドね。
ハリーポッターシリーズの大きなテーマの一つとしてマグルと純血問題があるがどうもやっていることが時代にマッチしていないような気がする。
過去編なので仕方ない部分もあるが現代編(2000年代)でさえマグルとの関係性は決していいものとは言えず差別と偏見にまみれた閉鎖的な世界である。
JKローリングの原作ありきの映画なので身も蓋もない話にはなるがハリーポッターシリーズはむしろ今だからこそ魔法界とマグルとの共存に焦点を当てた未来編を作るべきではないのか。
マイノリティーや多様性を認める風潮が特に映画界では強く蔓延っているのでそっちの方が批評家ウケも狙えるよ。
2でこの出来で、2年ごとに新作出すと仮定するとスピンオフの過去話に7,8年以上もかかるわけで五部作ちゃんと完遂できるのか怪しいな。
確か死の秘宝から十数年後を舞台にした小説が既に出ているはずだがそちらを早く実写化してほしいな。
なにより、明らかに繋ぎの作品ではあったが最低限の楽しめる作りにはしてほしい。

なんやかんやシリーズ続けて見るとは思うがそこそこ期待していた反動により自分の中で今年のラジー賞候補である。
ゴン

ゴン