《傷口に塩を塗るかのような作風》
【長いイントロ】
まず冒頭のキャラ紹介が長い。永遠と20分ぐらいは一人一人紹介していく。律儀すぎる。しかもコミカルなテイストなので、ヴィラン特有のかっこよさは無く、溢れ出すファミリーフレンドリー感。ヴィランなのか愉快な仲間たちなのか。
【キャラクターたち】
ウィル・スミスがデッドショットに決まった当時は嬉しかったのだが、やはりなんか軽い。カッコいいのにもったいない。バーのシーンで、娘の手紙を隠されていたという事実が発覚したのに、それが協力するキッカケになってしまうのは意味がわからなかった。ジョーカーもピエロではなくギャングスターになってしまった。ただ唯一恩恵を受けていたのがハーレイ・クイン。この作風とキャラがマッチしていて、ひときわ際立つ。彼女のために作られた映画なのかもしれない。ゲームの「アーカムシリーズ」をやっていた自分としてはゲーム内のハーレイがそのまま実写になった感じが嬉しかった。
【寒い…】
劇中のやりとりもくだらないものが多い。エンチャントレスが人間の肩をナデナデしてみたり、炎で「Bye」と書いてみたり、デッドショットに渡した拳銃を案の定突き付けられたり、娘の大学はいいとこ入れろよな!とか、俺は美しいとか、ジョーカーが着る特攻服にわざわざジョーカーの文字…。なんだろ、言ったらキリがない。ちょっと寒い。
【傷口に塩】
やはりファンは「ダークナイト」から「BvS」までの地に足が着いたダークトーンを期待してる中、このフレンドリーな雰囲気でしかもヴィランを語るのはリスクが高い。かつ、キャラクターに同情できる背景や正義感、チームワークを容易く与えてしまっているので、「いい子感」が溢れてしまい、映画全体の雰囲気も「ほっこり」に…。その軽快さやほっこり感が気持ち悪く、ただでさえアラも多いのに、更に目立たせてしまった気がする。
【総括】
自分はコミックは未読だが、ゲーム版バットマンのヴィランたちが好きで好きで…。なので今回ちょっと、ファミリーフレンドリーな作品を見せられて残念だった。その作風がより脚本の寒さを強調してしまっていたように思う。