平田一

スーサイド・スクワッドの平田一のレビュー・感想・評価

スーサイド・スクワッド(2016年製作の映画)
2.5
デヴィッド・エアー監督本来の意図に基づいた通称《エアー・カット》への応援企画第1弾。悪党どもで編成された自殺部隊こと《スーサイド・スクワッド》がドジで甦った魔女とその弟と大バトル…

なのですが、ハッキリ言って、イマイチな作りです。

編成のぎこちなさ、トーンの不安定ぶりが、文字通りに水と油過ぎて、全く噛み合わない。強盗・殺人何でも御座れな犯罪者の物語と陽気なトーンとミュージックがこれっぽっちも混ざらずで、しかも世界の大ピンチがドジきっかけって何だそれ…

しかもドジを踏んだのがよりにもよってウォラーという、アンタ散々極妻ぶって、それはないだろ案件よ…肝心のスーサイド・スクワッドのメンバーも、悪党というよりも口の悪いイイ奴らに見えて見えてしょうがなく、悪党感が基本的に薄いような気がします。

観てるとこれはデヴィッド・エアー監督の非というより、餅は餅屋に任せなかったワーナーの口出しがこの企画を台無しにしたとしか思えない。勿論監督の言い分すべてを信じるわけではないですが、この後に公開される『ワンダー・ウーマン』におけるノーマンズ・ランドに対するワーナー重役の反応を思い出すと、やっぱ餅屋に任せとくべきですね。そのせいでスナイダーが練っていた構想(『ジャスティス・リーグ』4部作)やベン・アフレック監督の幻の『The Batman(原題)』とマジで実現してほしかった企画が台無しになるという、ホントワーナー猛省しろ!ってレベルの大罪ぶりですね。だから是非来年からの新生DCユニバースでこれまでの失敗すべてを過去にさせてほしいです。願わくば《エアー・カット》の実現も待っています(今年中に何らかの動きがあるって噂だが)。

無論最高にテンションが滾るパートもたっぷりで、だからこそこの映画をキライになれないのがズルいw 下種で卑怯で品性最悪極まりキャプテン・ブーメランが意外と仲間を大事にしているキャラなのが良かったし(某雑誌の「見た目は完全ヤンキーなのに、自分が携帯を失くしたとき、頼んでもいないのに必死になって一緒に探してくれるタイプのナイスガイ・キャラ」って例え方が好きすぎるw)、ディアブロの抱える罪を責め立てるハーレイを我慢できず批判したりするところも良かったし、『ザ・スーサイド・スクワッド』続投も納得です。

加えてクライマックスの覚醒したエンチャントレスにハーレイが○○○○を噛ましたのも最高で、そこからの反撃とスティーブン・プライスの音楽も当時映画館で見たときから変わらずに最高です! だからホントに思います。この映画、イマイチなのにキメるときは決めるから、正史扱い『ジャスティス・リーグ』よりも好感度高しです。

結論から言っちゃうと、日本の不良マンガみたいな面白さはありますし、好きな場面もたっぷりあって、マーベルよりも行儀悪いw 好きなところとダメなところが両極端に揃っちゃってるコマッタちゃんな映画です。でもまた見るかもしれないな。

次はとっくに買っている『ディレクターズ・カット版』。承知の上で言いますが《エアー・カット》じゃありません。

【好きなやり取り】
証拠隠滅の一貫で部下たち全員を射殺するアマンダ・ウォラーの行動に、

ヘッドショット「マジか。アンタの上司、スッゲーヤバイな…」
リック・フラッグ「まあ、そのうち慣れる」
平田一

平田一