ヴぇる

心が叫びたがってるんだ。のヴぇるのレビュー・感想・評価

心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)
3.0
私には今作の製作陣が作った『あの花』は全く心に響くことはなく、何故この程度で涙できるのか?と疑問でしょうがなかった。
そのスタッフが作り出した今作は『あの花』よりは映画的な作り込みであり、パッケージとしても悪くは無い出来であった。

言葉に関してのロジックは正直子供向けのようなファンタジーであり、今作の対象年齢をどこに捉えているのか若干疑問に残るが、脚本自体はまとまっており引っかかる所やクエスチョンマークが出ることは無い。

高校生活にありがちな心が荒むような雰囲気や集団心理は巧みで負の感情の付け方は素晴らしい。ただ問題なのはそこで抑揚を付けるために半ば無理矢理周りが納得したり協力し始める所だ。
妙な感触だが、主人公4人の方がよっぽど子供で周りのモブの方が、すれた空気の読める大人に感じてしまう。

またミュージカル部分についてだが、これはボロが出ないように前半は隠せていた。日本語で作るミュージカルがどれだけ難しい事なのかは理解しているが、それが見えない様に歌でカバーし出来るだけミュージカル部分を隠した。
言ってしまえば勝負を避けた形だが、これは仕方ないだろう。そういう映画では無いのだ。ただ後半からラストは酷いもので、稚拙で幼稚なひどい出来になっていた。
これに観客が拍手する理由が全く理解できない。
ハッキリ言って日本語でのミュージカルは無理だ。だからこそ過去のイける名曲を英語歌詞で字幕なり上手く使って欲しかったところだ。よく言えば難しい事に挑戦はしたといえる。結果は惨敗だが。

総評としては120分の中で所謂青春映画の雰囲気は出すことに成功しているし、日本のオリジナルアニメーションという立ち位置ではある程度の満足感はある。
だが心に残るか?訴えかけるものがあるか?最高か?と言えば答えはNOで、長所短所が混じりあった平々凡々な映画といった感想になった。
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