絶対の客人

心が叫びたがってるんだ。の絶対の客人のレビュー・感想・評価

心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)
4.0
原作の存在しないオリジナルアニメーションとして、フジテレビの<ノイタミナ>で放送されていた【あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(あの花)】のスタッフによる、画とは裏腹に、性的な意味で何気に大人なアニメの第二弾!【心が叫びたがってるんだ。(ここさけ)】

監督『長井龍雪』&脚本『岡田磨里』もさることながら、キャラクターデザインも【あの花】と同じ『田中将賀』さんなんだけど、正直あまり好みではなかった【あの花】のデザインよりも好みに近かった。

全員が黒髪っていうのもあるし、『メンマ』のように目が縦長の、あと一歩で萌えキャラの仲間入りをしそうな登場人物が一人もいなかったってのが大きなポイントだったかも…

『メンマ』に限らず、キャラクター全てがリアル路線に変更したような現実的なデザインが好印象♪

劇中で歌われる歌も上手過ぎず、いかにも高校生っぽい素人感が出てて良かったし、物語もメインの、ヒロイン『成瀬 順』が言葉を発することができなくなったトラウマの物語と、クラス全員で取り組むミュージカル演劇や恋愛を含めた青春群像劇がバランスよくミックスされていて、脚本の素晴らしさを実感。観ていて心地よかったです。


確か自分にもありました。中学生の時に…
別にお喋りな性格だったワケじゃないけど、友達との会話でふと発した言葉がその友達を傷つけてしまい、「俺、しゃべらない方がいいんじゃないか?」なんて思ったこと。

単純なんです。中坊なんで。

その日からその友達との会話が極端に減ったのは事実。でもやっぱりそこも中坊(しかも男子)なんで。いつの間にか、気が付いたらその友達と普通に喋ってたりするワケなんです(笑)そんなモンなんです♪

そんな、きっと誰もが子供の頃を思い出して、部分的には共感できる作品なんじゃないかな?

そう、あくまで部分的。正直、成瀬の境遇も、その境遇を元に作られたミュージカルの物語も、<言葉が人を傷つける>という部分以外は個人的には共感できるような内容ではない。

だけど、彼女がトラウマと正面からぶつかって戦うクライマックスのストーリーとミュージカルの場面は、共感できる部分とはまた別に、あくまで映画としてよくできてたと思う。

ただ一点、ミュージカルのラストの曲、ワケあって正直何を歌ってるのかさっぱり分からない(笑)
なので、そこは、お高くつきますがパンフを買って確認しましょう!



余談

大人になった最近、ふと思うことがあった。
言葉で人を傷つけることはもちろんあるけれど、言葉を発しないことで傷つけるもあるんだということ。

それは別に<声>じゃなくてもいい。<メール>でも構わない。「きっとあの人だけは声をかけてくれるだろう」と思っていた。

もちろんその言葉は「自分の思い」とかそんな重いモノじゃなくて、たとえ社交辞令程度の挨拶で全然構わなかった。

忘れているのか?それはそれで心は痛いが、それすらもしたくないほど嫌われているのか?…なんてことを考えてしまう。まあ、そっちの方が真実のような気もするが(笑)