きぬきぬ

WEEKEND ウィークエンドのきぬきぬのレビュー・感想・評価

WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)
4.6
二人が出逢ってから週末までの約二日間という限られた時間が、リアルに鋭く、でもとても繊細に優しく描かれている。

ゲイの集まるバーでの、おそらく一夜だけの関係のはずが、朝目覚めても離れ難く、惹かれ合い、お互いに好意を抱いてしまう(というより恋に落ちたような)二人の青年の共に過ごす改めてはにかむような穏やかな時間。

限られた時間の中で、お互いを知り合う為、理解する為にぶつけられる会話。ほんと二人の描き方が淡々と自然でとてつもなく素敵。お互いの気持ちが、彼らの眼差しや表情や声や、ボイスレコーダーに託された想いからぐいぐい伝わって来る。
行きずりの関係に終わらず、ラッセルの仕事が終わるの待っていたグレンとの自転車二人乗りとか、デートみたく夜の町を歩き、ゴーカートで遊んだりしてる二人がとても微笑ましい。

イギリスの地方都市で、町に留まるしかないけど、愛する人を求めている青年と、自分の夢もあり町に留まりたくない、それに裏切られた過去から今は恋人を持ちたくない青年との出逢い。なんでこのタイミングの出逢いなんだろう。本当に二人一緒に居る様子は優しく幸せそうなのに。
出逢ったばかりのグレンの旅立ちを引き留められないラッセルの気持ち辛い。
それは普遍的でせつない恋愛。

でもグレンとの出逢いで、ラッセルはゲイとしての自分を理解してくれている友(この友の友情も泣かせる!)が居ても、世間の中での差別や偏見を恐れ、居心地の悪さを感じて自身が作ってしまっている壁に気づかされ、そこから少しでも抜け出せた様子に、グレンに示した愛に、もう胸いっぱいになり過ぎ痛くて、思い出しても泣いてしまう。
そう自信家のグレンが初めて頼り無げに見え、ラッセルと立場が入れ替わるような、いや二人が対等となった瞬間かも。

連絡先交換したのに、ラストネームも知らなかったんだよ。
ああ、あまりにも素敵なラブストーリー!

イギリス版のDVDソフトを所持してるけど、会話が大事なドラマだから英語の細かなニュアンスとかを、字幕付きで2016年今年のPFF名画発掘の特集上映で観れたことに本当に感謝!
きぬきぬ

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