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いつだってやめられる 7人の危ない教授たちのyukacafeのレビュー・感想・評価

4.0
(2021/1/20 再鑑賞)
完全リモートワークとなり、仕事帰りにふらっと映画館に寄る楽しみがなくなって早数ヶ月。すっかり映画から遠ざかっていたが、ふと映画が観たくて仕方ないという気持ちが湧き上がり、大好きなイタリア映画から復帰することに。

3部作となる本シリーズ、2018年に劇場で2作目を鑑賞して、あまりの面白さにすぐ1作目を観たものの、3作目が未鑑賞のままになっていた。せっかくなら1作目から観直そう、と軽い気持ちで観始めたら、ラストまで駆け抜けるような面白さ。久しぶりに映画の世界に引き戻してもらうにはぴったりの作品で、イタリアならではのブラックユーモアにも思い切り笑わせてもらった。

一見重くなりがちな経済危機やドラッグというテーマをしっかりとエンターテイメントに昇華させている。オーシャンズを思わせる個性豊かな研究員ギャングたちが、いかにも研究員らしい、早口で理屈っぽい会話の応酬を繰り広げ、それぞれの専門分野を活かして活躍するのを見るだけで、思わず笑ってしまう。7人の個性が明確に描き分けられていて、時に言い訳がましくても憎めない魅力的なキャラクターに仕上がっている。

イタリアの友人からも、高学歴者ほど能力に見合った仕事に就けず、優秀な人材が国外流出してしまう状況を聞いていたので、この作品で描かれている社会問題は全くのフィクションではなく、現実の延長線上にあるのかもしれない。

コロナ禍の現在、大学や研究者を取り巻く環境が更に厳しくなっていることは容易に想像できるが、彼らのような研究者が報われる世界になっていくといいなと思う。
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