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日本のいちばん長い日のqpのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(2015年製作の映画)
4.5
 第二次世界大戦のポツダム宣言を受け入れるまでの天皇、軍、その側近が降伏か本土決戦かで奔走する姿を詳細に描いています。

 天皇の苦悩、葛藤を描いているものだと勘違いしていました。当然だけど、今とは違う省名に戸惑います。特に、陸軍省は軍の規律、肩書が分からないので、軍内での人間関係が分かりませんでした。

 終戦を決断するための会議が何度も開かれます。これも当然ですが、原爆投下とソ連の日ソ中立条約一方的破棄が終戦に向かわせたことを知っていたので、その脅威で終戦はスムーズに決まったものだと勘違いしていました。

 そんな会議が続く中で感じるのは、鈴木首相は賢いですね。バランスを取るのが上手ですし、先を見据えていました。阿南陸相はまさしく不運ですね。バランス取りに追われ、どっちに転んでも命の危険を悟っていたようです。

 14日の夜のクーデターは知らなかった史実でした。松山ケンイチの殺害シーンは驚きましたが、やはり人間関係が分からなかったのと、全体的な結論はわかるので、盛り上がりに欠けてしまいました。阿南の妻の報告はよかったです。

 原爆投下までに至った根源は軍のプライドだったことをひしひしと感じました。国民のためではなく、負けたくないという気持ちが現実を直視させず、非論理的なことを主張してしまうことになっています。そのように教育されていると悲しいですね。終戦までの背景を知るいいきっかけになるのでお勧めです。
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