daisuK

シチズンフォー スノーデンの暴露のdaisuKのレビュー・感想・評価

3.5
この映画を見て「怖いな」と思うことが二つある。

一つは「インターネット上の自分にまつわるデータ」について。
いまの技術をもってすれば、個人の特定や現在位置はおろか、その人の交友関係や誰にも明かしていない秘密など、ほとんどバレてしまう、ということだ。そして、その情報をいつでも取得できる機関が実在するということが恐ろしい。

もう一つは「常識が適用されない世界」について。
今作は、アメリカ政府が「国家の安全」のために、許可なく全世界のメール、SNS、通話を監視していた、という事件がテーマなのだけど、「国家の機密事項」を理由に、通常の法律やら倫理が一切適用されない仕組みも恐ろしい。
今作には派手な銃撃戦はない。だが、政府が行ってきた事実を暴露したスノーデン氏を拘束しようと、あらゆる手段を講じる政府の手には寒気を覚える。

誰でも平等にオープンに情報のやり取りができるインターネットが、逆に自分たちの自由を奪うツールになってしまうとは、皮肉な話だ。
だからといって、いま利用しているインターネット関連のサービスを手放すことはできない。ジレンマである。

※実話をベースにエンターテイメントに昇華させた『スノーデン』を観てから、実際の事件の一部始終を記録した今作を観る順番がオススメ。
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