Yuri

怒りのYuriのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.0
原作読んでます。原作は後半に入ってからもまだ犯人を決めずに書いていたと吉田さんがおっしゃっていただけあって、全然犯人がわからず、ページを捲る手が止まらなかったのですが、本作は最初から明らかに犯人が異質で怪しすぎるだろ!というくらいわかりやすく描かれていて、これはあえてなのかな?なので、サスペンスのテンポの良さみたいなのは停滞気味に感じました。宣伝の仕方も・・・。李監督だから期待し過ぎたかな(>_<) 個人的には原作の方がよく出来ていると思いました。3つの場所で3つの人達 起こった、実際には繋がりのない出来事を「怒り」という精神的な感情の繋がりでクライマックスで見事に昇華させているのは素晴らしかったです。その「怒り」とは、自分と相手を信じることが出来なかった「怒り」、やるせなく体の奥から沸き上がり続ける「怒り」、後悔と悲しみの「怒り」です。妻夫木くんは今回はゲイの役ですが、彼の男泣きにはやっぱり泣かされてしまいました。宮崎あおいは彼女の新境地で「警察に電話した。」と泣き叫び続けるシーンは素直に凄いな、と彼女の演技の幅を見せつけられました。渡辺さんのひたすら耐える父の姿も名演でした。ラストの松ケンにも泣かされました。すずちゃんの熱量が凄くて、全身で怒りをもて余し放っているのも素晴らしかったです。彼女は作品選びが上手いですね。必ずステップアップする役柄、作品を選んで自分のモノにしていっている気がします(*^¬^*) 佐久本くんも新人とは思えない演技でした。俳優さんたちがとにかく素晴らしく感情の乗せ方が丁寧でした。今年の日本アカデミー賞は「64 ロクヨン」と本作の俳優陣で埋め尽くされそうですね(^_^;) 個人的に原作の犯人の考えが最後までわからない感じが素晴らしい!と思っていたので、本作はそれには及ばず。俳優陣に頼り過ぎていたのが良くも悪くもでした。
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