怒りの春名ハルのネタバレレビュー・内容・結末

同じ価値観を持つ人と見てほしい作品。何度でも見たい。きっと、初見とは違う感じ方をするはず。

それぞれの｢怒り｣が、言葉にすることの出来ない｢怒り｣が、役者陣によって鮮明に演じられていた。
物語が本当の世界であるかのように錯覚をする。
シーンの切り替えが多いので混乱するかと思ったがそうでもなく、巧妙に余韻を残しつつ、次のシーンへと移り変わって行った。
鑑賞後の余韻は、数日引きずる。


※以下ネタバレ

登場人物全員に救われてほしいと願ったが、そうではなかったのが残念。しかし、全員が救われてしまったらきっとここまで素晴らしい映画にはならなかった。

泉(広瀬すず)のレイプシーンはショッキングで、生々しさに目を瞑りたくなった。
優馬(妻夫木聡)と直人(綾野剛)の関係も、人と人がどのように一緒に生きていくのか、生きるべきなのか問われている気がした。
愛子(宮崎あおい)と田代(松山ケンイチ)の信じ、信じられない関係も、洋平(渡辺謙)の愛子を心配するあまり過保護になり結果的に信頼していなかったことにはとても共感できた。
ただ、田中(森山未來)が殺人を犯した理由だけは分からなかった。わかりそうで、分からない。
けれど、それこそが人の感情なのだろう。｢怒り｣なのだろう。

劇中で、様々な怒りが描かれた。自分に対するものも、他人に対するものも。
どれが一番共感出来る怒りだったか。それを探すのもまた面白いかもしれない。