EnzoUkai

怒りのEnzoUkaiのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
3.9
さすが李相日、全く期待を裏切らない。多分現在日本映画界では予算かけて一番まともに撮れる監督じゃないだろうか?彼にお金を預けて撮らせれば間違いない。

話が展開するまで1時間超かかり、その上収束にかけて結局何を訴えたいんだろうか?とあまり予測がつかず、このままサイコパスの殺人もので終わったらどうしようかと不安に思いつつ見てたけど、タイトルが出てくる時には身体が熱くなってしまいました。
人と人に間に信用を築くことが如何に難しいかを思い知らされる。何故、難しいのか?それは突然ジョーカーが回ってくることを経験上常に疑心暗鬼になっていなければならないからなのだ。(まぁ、この映画は見てる者にとってはジョーカーが見えないババ抜きならぬジジ抜きだけど)
こうした構成を吉田修一は目論んでることだと思う。人間の持つ、特に無宗教的な現代日本人の、それこそ救いの無さを突きつけてきてるんだろう。
人と人との温もりなんて言うが人肌の温もりなんて一過性に過ぎず、深く相手の懐に入り込んで互いに傷つけあい慰めあいながら温めるしかない。まやかしに縋っても自分を誤魔化すだけ。信用は時間を掛けて築くものだと改めて考えさせられた。

坂本龍一の音楽も良かったねぇ。まさか2CELLOSにリード取らせるなんて、金が掛かってます。
EnzoUkai

EnzoUkai