れこーど

怒りのれこーどのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.3
1人だけ種類の違う人いますね。鑑賞後すごくそこが気になりました。
もともと理不尽な事、不合理な事はあまねく社会にあります。もうそんなことは生きていれば、分かります。ずっと直面し続けます。それに対する『怒り』から出てきてる。でも後の容疑者2人はそうじゃない。そんな社会の中でも健気というかひた向きに生きようとしてる。つまり1人だけ社会のせいにしてます。それがはっきり分かる(元同僚の証言から)のが、終盤なのでそこまでは誰が犯人なのかも動機もわかりません。これはドラマなんだけどミステリー要素があるんですね。


私はこれは人の“弱さ”についての映画だと思いました。
この映画の根底は弱さだと思う。それがあるから、それを補う、寄り添える誰かを求めてて、ようやくその人を見つけられてほっとしてるんだけど、今度はその人と生きていく難しさ、人を信じ切る難しさにつながり、それが出来ないことで自分自身に対する『怒り』となるのかな。
だから犯人のそれとは違う。大雑把に言うと全部で8人の怒りがあって、その中の1人だけ違うと思う。その1人のために他の7人が苦しむんです。この1人の怒りには死臭、腐臭がある。それを撒き散らしていて、全く関係ない人を巻き込み苦しませている。

誰もが相手の全てを分かって信じてる訳じゃない。相手の欠点というか足りないところを、どれだけ抱え込めるかじゃないかな。信じてくれなくても、自分は信じてるという行動、態度そしてそれを続ける、たゆまぬ努力こそが相手を安心させるし、人と繋がっていけるのかな。何か突き抜けないといけない。

私には重くもなかった。見応え充分で、かつスッキリまとまってくれるしオススメします。

今年初レビューでこのタイトルですが、ポジティブな怒りで新年明けましておめでとうございます。m(_ _)m
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