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怒りのFのネタバレレビュー・内容・結末

怒り(2016年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

久々に映画を見て感情移入してしまった。

終盤でボロッボロに泣いた。
重い映画だというのは知っていたけど、聞いていた以上に苦しかった。観終わってから何かを考えさせられるというよりは、観ている最中にダイレクトに感情を揺さぶられる。

原作が小説ということで、おそらくそちらでは文字情報として多くのことが語られているのだと思うが、映画では全てを語られるわけではなく、良い意味で映画という媒体の特徴が生かされているなと思った。間接的な視覚情報やさりげない場面転換が多いので、集中していないと展開を整理しきれないかもしれない。

坂本龍一の音楽が良い。また、曲だけでなくそれぞれのシーンや転換で使われる「音」が印象的。選ばれた音と使うタイミングのさじ加減があまりにも絶妙で、全体として飽きがこなかった。

複数の世界を語る作品であり、それらを同時に描いていく部分において「分かりづらい」「ごちゃごちゃしている」などの感想を抱く人もいると思う。しかし、犯人が誰だか分からないというのはミステリー要素ではなく、登場人物に感情移入するために必要な演出である。もしかしたらこの人が犯人なのかもしれない、と私たち自身も疑ってしまうからこそ、「信じる」ということの難しさを実感した。

俳優陣の演技力については言うまでもない。圧巻。
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