千年女優

シン・ゴジラの千年女優のレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
5.0
東京湾に突如として謎の巨大生物が現れるも姿を目の当たりにするまで対策を取ろうとしない日本政府。その後も全ての対応が後手に回る中、急激に進化を遂げていく巨大生物に対応するため対策本部を任された矢口欄堂が、学会や省庁の異端児ばかりを集めて「ゴジラ」と名付けた巨大生物を食い止めようと奮闘するさまを描く特撮映画です。

『エヴァンゲリオン』の庵野秀明が樋口真嗣をサポートに日本を代表する怪獣であるゴジラを描いた一作で、東日本大震災で露呈した緊急事態に弱い日本を皮肉る物語をスピーディで外連味たっぷりのカッティングや観客を煽りスカす特徴的な音楽、『ヤシオリ作戦』らの耳あたりよいネーミングといったエヴァンゲリオン的技法で演出します。

作中に登場する人物に展開、セリフに演出といった全てがゴジラやエヴァンゲリオンを含めてガラパゴス的に独自の道筋を辿ってきたマンガやアニメを中心とする日本のサブカルチャーの系譜に連なっていて現代日本人、特にそれにどっぷりと浸かってきた人を掴んで離しません。現時点でこれ以上を考え難い日本のエンタメ映画の到達点です。
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