徹底的に、日本。
元祖「ゴジラ」の2016年版。1954年、水爆実験に日本が巻き込まれた第五福竜丸事件。その年のうちに、水爆実験のせいで生まれた大怪獣「ゴジラ」の映画が公開された。放射能をゴジラという怪獣に置き換え、政府のゴジラへの対応は軍事的被害や自然災害のよう。今回は、そのゴジラ。初代ゴジラや昔のウルトラマンのように、特撮で社会問題を表象することの今バージョンを徹底的にやった。
政府の偉い人たちの描写は、無責任でどんくさいという批判かつユーモアの部分もあるが、エキスパートが揃えば乗り越えられるというカッコよさもあり、「みんな国を思う気持ちを持っているでしょ？」という鼓舞でもあった。
表面的には「必ず乗り越えられる」というメッセージを出しているが、「この映画と違って、実際にはどう希望を持って戦えばいいのか分からないぞ。それでもやるか？」と覚悟を問われているようだった。
変化球を投げるふりしてストレート、という裏切り。ゴジラが違う姿で出てくるサプライズ。別の怪獣が出てきたのか、と思ったらこいつがゴジラ。皆が思うゴジラ像を壊して始まったが、それ以外は元祖「ゴジラ」を今やるとこう、ってのをど直球で。エキスパートたちが作戦を練るところを「エヴァンゲリオン」の音楽で。でも、これからもゴジラ映画が作られるなら、モスラやキングギドラと戦うダークヒーローのゴジラも見たい。
