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シン・ゴジラのKANIOのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

VSシリーズにアプローチを寄せたギャレス・エドワーズ版『GODZILLA』とは異なり、怪獣を天災のように描くことでキャラクターを1954年の『ゴジラ』に寄せた今作。
60年近い時を経て在来線がゴジラに牙を剥く下りはド最高。
真昼間にゴジラが映されるシーンも多いが、白組がCGを担当しているだけあってハリウッド版に負けず劣らず高いクオリティのCG表現で現代の日本で暴れ回るゴジラを描き出している。

作中のラスト、ゴジラが再び活動を再開した3526秒後には核攻撃が行われるという。
その時はラストカットで映し出された人型ゴジラ達がどうなるか、巨神兵モチーフというだけでも安易に想像できる。

表現技術の進歩により、「虚構」と「現実」の境界が限りなく曖昧になりつつある近代、ドラマで悪役を演じた子供が現実で苛められたり、平和記念公園では原爆の日にゲーム(ポケモンGO)の設定を全削除されたりと、大人や子供を問わず「虚構」と「現実」の認識が理解できず、それが行動に現れてしまうケースというのは沢山前例がある。
そしてそれを過剰に報道するメディアにより、昨今の「フィクション」を取り巻く現実は、既にフィクションを凌駕しつつある。

それを掘り下げたのが本作。
結局作中でゴジラ(虚構)は倒せなかった。最後の主人公の言葉を引用するならば、「俺たち人類はこのゴジラ(虚構)と共存していかなくてはならないんだ」。
どんなに「虚構」が「現実」に近付き浸食していっても、虚構は虚構で割り切らなくてはならないし、そしてそれらに常に目を配らせ上手く付き合っていかなければ、再び虚構と現実は1つになり、ゴジラ(虚構)の手によって世界は滅亡する。

主題は全然違うのに、終盤は特に『ザ・ワールド・イズ・マイン』に近いストーリーテリングを感じる。
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