そーた

シン・ゴジラのそーたのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.5
感謝

僕は小さい頃、ゴジラとドラえもんで育ちました。

数年前のドラえもんの3D映画。
賛否はあったようだけど僕はすごく楽しめた。

ならばゴジラもと勇み足で見に行った今回の作品。
ゴジラに対して日本が見せた総力戦。

最高に興奮しました。

正直、生きててよかったと思った。
そう思える映画を日本が作ったんです。

感無量とはね、こういうことなんだと思います。

伊福部 昭のゴジラのテーマを全身に浴び、ゴジラの咆哮を腹で受け止め、スクリーンを一心不乱に見つめていた。

子供時代の記憶が呼び覚まされたのか、感極まって鎌倉上陸のシーンで泣いてしまいました。

そして、ゴジラが覚醒するシーンのあまりの神々しい美しさ。
口をポカンとあけて見とれてしまった。

そんなゴジラに対して日本人が日本のために死力を尽くします。

僕は愛国心だとか愛社精神だとかそういう言葉を聞くとちょっとこそばゆい感じになるんです。

でもその反面、ハリウッド産プロパガンダ映画を見ると何だか羨ましい気持ちにもなる。

あんな風に自分の愛国心を表現できたらいいのに。
でも、僕には出来ないしやりたくもないのが本音なんです。

そんな心境をこの映画が汲んでくれたような気がします。

言葉に表さないというスタンス。
これを仮に日本人の特性とするならば、この映画の根底にはそんな精神が息づいていて、それに共鳴してしまった僕はつくづく日本人なんだなと改めて思ってしまいました。

緊迫した会議シーン、幕僚長が放つセリフ、変人学者集団の奮起····

随所にその精神が滲んでいます。

そして内閣官房副長官が自衛隊員を激励するシーン。

命の保証は無いけれど、戦ってきてほしいと懇願する。
それに対して自衛隊員はただただ大きく返事を返すだけでした。

このシーンをあえて感動的に描くことなくむしろ淡々と描いたことで、ストレートに日本人の在り方を描いてしまった。

ここに、日本人の怖さと凄さを同時に感じてしまったんです。

個の力によらない、集団力。

これが日本人のアイデンティティーなのかは僕にはわかりませんが、言葉で語りづらい日本人の特性をこの映画は徹頭徹尾貫いていたように感じました。

こんな映画が現代日本で作られ、ここまで称賛されているということに大変な意義があると思います。

この大事件をリアルタイムで経験した僕。
明日からも相変わらずの生活を送ることでしょう。

でも決定的に違うのは、
自分が日本人だとこれから強く意識できるということ。

だから、ドラえもんのように幼少にかえるだけの映画じゃなくて、大人になった僕を力強く後押ししてくれるようなそんな映画でした。

ありがとうございました。
そーた

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