松井の天井直撃ホームラン

カフェ・ド・フロールの松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

カフェ・ド・フロール(2011年製作の映画)
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↓のレビューは、以前のアカウントにて鑑賞直後に投稿したレビューになります。

☆☆☆★★★

母:息子:妻 約半世紀近くに渡る愛憎劇

父親を見送る妻と娘。
その姿に被さる障害者の人達。
そして、いきなり40年以上前の話が始まる。

以後、少年時代:青年時代:現代の話が時系列がバラバラとなりながら進んで行く。

少しでも理解しようとする気持ちを無くした時点で、間違いなく興味を無くすのは必然です。

その意味では、好き嫌いが別れる作品と言うよりは、観る人を選ぶ作品と言った方が適切かも知れません。
個人的には最後までとにかくハラハラしました。
一体このバラバラに崩れたパズルはどうやって嵌め込まれるのか…と。

とにもかくにも。母親の愛情の凄さと同様に、妻が段々と病んで行く心の不安定さと憎しみ・焦燥感。
それと同時に表現される自殺願望には、眼を逸らした瞬間に画面上で何かが起こるかも知れない怖さが充満している。

同じ男の目線から見ると。子供達から少しずつ憎しみの眼を向けられ、やがて親戚・縁者・友人達から浴びせられる冷ややかな視線の辛さ。

そう! この作品は男性目線と女性目線では全く違った感想が出来る内容でした。

自分のお腹を痛めてこの世に生を受けた最悪の子供。
母親の立場になれば、その我が子に対する愛おしいまでの想いは。男には到底はかり知れない。

それにしても、全てのパズルが嵌め込まれた瞬間に、「そんな事が起こるのか!」
…と多くの人が思うはず。
母親役のパネッサ・パラディは勿論素晴らしかったが、あの子役の男の子の演技力も負けず劣らず凄かった。

映画は一見ハッピーエンドと見せ掛けて…。

いや〜、頭フル回転させて。我が脳みそは今ぐちゃぐちゃですわ。

(2015年4月11日 ヒューマン・トラスト・シネマ有楽町/シアター2)