Yui

母と暮せばのYuiのネタバレレビュー・内容・結末

母と暮せば(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

長崎の原爆で死んだ息子が、3年後に突然、母の前に現れ、その日から度々現れるようになり、母と色んな話をしていく物語。

二宮くんが大好きなのですが、公開当時は色々と状況が辛すぎて観れず、今になってしまったのだけど、原爆、戦争で亡くなるという恐ろしくも辛い出来事の中にも、幸せや温かさを感じる、日本らしい映画でした。

亡くなった浩二、
息子を失った母、
浩二と結婚するはずだった町子、
主な登場人物はこの三人。

亡くなる前の思い出話をしても、
今の話をしていても、未来の話をしていても、
とにかく苦しくて辛い気持ち…
それを身を持って知っているので、
観ている間中、ほとんど泣いてしまってた。

亡くなっただけでも、
もう一度会いたい、ひと目でいいから、
また会えるなら死んでもいい、
死んで会えるなら死んでしまいたいと思うのに、
震災なんかもそうだけど、
突然いなくなってしまった上に、
遺骨がないって、死んだ証拠がないって、
どうやったって諦められないよね…。
もしかしたらどこかでって、思ってしまう。
そんな人が数え切れないほどいたんだから、
原爆や戦争なんてもう絶対あってはならない事だよね。

ほとんどが母と息子の会他愛もない会話劇で、
ファンタジーか幻想かと、分かっていても、
"もう一度会いたい"を映像にされたらね、
辛くて優しくて…涙腺崩壊だよね。
吉永小百合×二宮和也がこれまたいいんだわ。

母と町子のシーンも、
浩二を思い静かに暮らしたい町子と、
それが嬉しいけど町子の幸せも考えてしまう母、
一番分かりあえて支え合ってきた二人の
それぞれの気持ちが痛くて…ね。

町子の浩二に対する思いも分かるなぁって。
生前にした約束も、描いた未来も、
死が全てを奪い去ってしまう…。
長崎のキリシタン文化も感じられる今作ですが、
キリシタンだから、自殺も出来ないんだよなと。
自殺がいいという訳ではなく、
自殺を選択しないという選択肢もないんだなとふと思ったり。

その中でも、最後の母の嫉妬が一番泣いた。
そりゃそうだよなって、仕方ないよなって。
今これ書いてても泣ける…。

闇市で物資売買をしている
おじさんが出てくるんだけど、
本作の中で一番生命力を感じる人だったな。
生き抜く力、タフな性格、
大丈夫!どうにかなる!どうにかする!と、
この時代にはこういう人が必要だったんだろうな。
「一番大事な時に裏切らない人」
そう言われるくらい素敵な人だった。

淡々とした会話劇が続くけど、
母の幻想と思えば違和感なく観れるかな。
弱っていく母の一番の願い、後悔、幸せ。
優しい優しい死神。
こんな最期ならお母さん、幸せだったんじゃないかな。
そんな風に感じるラストでした。

とにかく、なんて事ない会話。
ドラマチックでも何でもない普段の会話。
誰かを失ったなら尚更、そういう会話が
一番恋しくて、心に残って離れないんだよなと、
思い出させてくれる映画でした。


舞台劇っぽいな~と思いながら観てたけど
「父と暮らせば」という作品のオマージュなんだとか?
知らなかったので観てみたい。
それぞれが一人芝居をしているような、
それが溶け込むような不思議な魅力があったんだけど、
それって、個々の演技力の高さがないと出来ない事で、
凄いなぁと普通に感心してしまった。






二宮くんファンとしては、
泣きの二宮くんがたくさん観れて良かったな。
戦時中の背景に溶け込む系ジャニーズ、誇らしい。笑
町子に好きな人を聞くシーンも、かっこよくて
めちゃくちゃドキドキしてしまったし。
母さん、母さん、と可愛い息子の姿に、
町子が大好きで嫉妬したり泣いたり男らしい姿、
色んな二宮くんが観れて、幸せ!!!
クリント・イーストウッドに山田洋次…凄いなぁ。

相葉ちゃんが真似していた
「町子がね~」がやっと観れました🤭
嬉しい~!ふふふ~🤭


2021-10
Yui

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