花俟良王

無垢の祈りの花俟良王のレビュー・感想・評価

無垢の祈り(2015年製作の映画)
4.5
商売として成立すればいい、という生ぬるい企画達を嘲笑う、堂々たる作家の映画。

辛い、ひたすらに辛い。そしてそれを経たラストの感情の爆発に不覚にも涙した。この着地は素晴らしいし、恐ろしい。

ここまで感情移入できたのは主演少女の体当たり演技に他ならないが、ロケーションの魅力が絶大だ。どうしても低予算の邦画は「ああ、こうせざるを得なかったのね」というのが分かってしまうが、本作は一貫した美意識に貫かれ、ロケーションを作品の一部としている。黒沢清の「叫」も湾岸地帯そのものが作品の顔として機能していたのを思い出した。

子を持つ親としてはかなり辛い映画だった。それでも観てよかったと心から思う。監督の熱意と気合に拍手。
花俟良王

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