まぬままおま

絵の中の少女のまぬままおまのレビュー・感想・評価

絵の中の少女(1958年製作の映画)
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大林宣彦監督8ミリ作品。

ヒロインは大林監督のパートナー・恭子さんが務める本作。
大林ファンタジーはすでに顕在しているし、カラーで現在を、モノクロで回想を描く技法にも驚く。他にもクレジットは手書きであり、作品全体に創意工夫がされていて純粋に凄い。大林監督は役者で出演しており、若かりし頃を拝見できてよかったです。ただ役柄は主人公の男から女を奪おうとする男。三角関係は大林監督作品に頻出する関係性であり、監督の個人史や記憶に深く関わっているのではないかと邪な推測をする。

追記
大林監督に特徴的なフィクショナルな身振りは本作でも確認できる。例えば少女が電車の車内で行い、男が少女に再会したことを知る「双方の手で口のようにみたてパクパクするも身振り」や大林監督演じる男が主人公と少女から去る際、「振り向かずに手がしっぽのようにみえるバイバイの身振り」など。それが絵の中の少女が実際に現れるファンタジーを可能にする。と同時にセリフを音声で表現するわけではないので身振りでその人らしさを表現するために生まれた身振りでもある気がする。あと、「ものを投げる」という動作も本作にあるのは、やはりジョン・フォード的なんですよね。