まぬままおま

永遠に君を愛すのまぬままおまのネタバレレビュー・内容・結末

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

濱口竜介監督、渡辺裕子脚本作品。

人物が方言を話すのが珍しいなと思ったら脚本家が違うんですね。
他にも演出やカメラワーク、会話の感じとか全然違う。

人物にコミカルな動きをさせているように思える。悲しいのに頬を引っ張って無理矢理に笑顔にさせる演出とか。カメラワークは面白い。やはりファーストカットの長回しは驚かされる。ちゃんとキスするんだなとびっくりした。しかし人物をちゃんとフォローできていないから成功しているかどうかは定かではない。会話はトレンディドラマみたい。ちゃんと受け答えをしっかりする感じ。

しかし濱口作品に通底するものもある。それは本当のことを告白することで、関係が崩壊する様などだ。それは本作の前作にあたる『PASSION』の問題系を引き継いでいるように思える。

永子と誠一の結婚式に至る物語と式場での音楽隊の準備風景、ヌードモデルの元彼と女学生の物語。この一見独立しているように思える3つの物語が、車や電車の移動によって交差して触発されていくのが面白い。そしてラストのおんぶの移動によって、彼らの事態は好転しているように思えてなんとも快い。

追記1
あんまり照明は意識されていないように思える。自然光で撮っていたり、暗くても問題ないかのような。なんかエドワード・ヤン作品の光度・色味みたい。
しかし式場のろうそくの灯は印象的だ。少し明滅している感じが本音と建て前の揺らぎを表しているよう。
他にも衣装とかちゃっちいと思いつつ、インディーズ精神に溢れている感じがとても好き。

追記2
電車の会話は失敗していると思う。電車の進行・停車と会話の進行が噛み合っていないように思えるから。実際、アナウンスと会話が被ったりしてますし。ただ『親密さ』で「言葉は想像力の電車です」と言うまでの過程がみれたようで嬉しかった。

追記3
濱口監督は乗り物好きすぎでしょ。本作でも車と電車が場面として頻繁に登場しますし。そして本作は濱口作品における車の登場数ランキングで間違いなく1位を獲る。列車の車窓から撮り過ぎ(好き)。