YusukeHorimoto

恋人たちのYusukeHorimotoのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
3.7
⭕️初見

2015年キネマ旬報ベストテン1位獲得作品ということで鑑賞。その他受賞も多数。

独特の世界観や撮りの雰囲気で観ていて思ったよりも飽きない映画でした。

◼️まず、撮りの雰囲気に映画っぽくない独特な空気感を感じられる。

私はミーハーなので、これには驚きました。冒頭のカットの感じとかは、サブカル感漂う洋画の雰囲気凄い。
それ以外のシーンでも、日本映画にはあまり感じられない、ホームビデオ的なリアリティがひしひしと出ていて、ハリウッドなどのアメリカ映画というよりは、フランス映画的な空気感を日本の庶民階層に持ち込んだような感じ。
長尺ワンカット多めってのもそれを助長させている。ハンディの感じとかも良いのかな。
特に最後には、3人の主人公それぞれが心情を暴露していくのだが、そこでの篠原篤のカット。場合によっては素人っぽさ全開のハンディ回しだが、今作に関しては引き込まれた。

◼️恥ずかしながら、あまり知っている役者さんがいなかった。

これは私の情報不足だし、ミーハーを全開にしていくスタイルなのだけど、そこにもこの映画のリアリティみたいなところを感じられてむしろ良かった。
皆さん素敵な演技をされていて、節々では本当にこの人たちの話なんじゃないの?なんか本当にドキュメンタリーかなんかなんじゃないの?とすら感じました。

◼️それと、内容(ストーリー性)が想像とは全然違って、思っていたより楽しめた。

恋愛映画かと思っていた。まぁあながち恋愛で間違ってはいないのだが、ちょっと違う。恋愛というコンセプトはあるのだけど、どちらかというと、その“恋愛ということへのそれぞれの形”を問うような感覚。なので主観。恋愛とは互いの感性の摩擦を描くのが綺麗でわかりやすいが、今作は個人の話。
パートナーが異常なキッカケで他界してしまった人、家庭があるが上手くいってない人、ゲイの人の3視点で描かれているっていうところで飽きを感じさせない。特に篠原篤の視点はそれだけでも深い映画として描けそうだが、敢えて3視点にすることによって深みを増している。視聴者を客観へと誘導しているといった感じ。

この3人が全く違う人生を歩んでいるのだが、実は繋がっていて、互いの人生に多少干渉しているという演出も良かった。

◼️総評

これはシンプルに苦手な人は苦手かなと思ったけど、個人的には想像よりも面白かった。

《好きなシーン》

上記でも触れたが、3人それぞれが心情を暴露していくシーン。3視点とも良かった。セリフも演出も。
YusukeHorimoto

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