あなごちゃん

恋人たちのあなごちゃんのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
4.0
私の尊敬する友達がTwitterでこの映画を見て泣いたと言った。
分かり合えない孤独を抱え込んでしまった人間の寂しさがこの映画にはあるんだと言った。

私もきっと泣くかと思いきや、私は妙に冷静に映画を鑑賞し終えた。

その理由はやはりこの映画の主人公たちが「人には分かり得ない孤独」を抱えているからだと思う。私には主人公の抱えている孤独の重みが分からなかった。だから泣かなかった。

代わりに自分の人には分かってもらえない孤独を思い出して泣いた。

映画の主人公に感情移入して泣くことはできなかったけれど、自分の孤独を思って涙するという行為は、私自身が人の孤独は分からない代わりに自分の孤独にはひどく敏感な主人公たちそのものであることをメタしていた。私はこの映画で初めてメタフィクションを体験した。

とても主観的な意見だけど、私は誰かを一番好きだと思い込むから苦しいのだと思った。誰かから一番愛されているはずで、また自分も誰かの一番であるはずだと思い込むから孤独なのだと思った。誰かの一番だと思い込まなければ、(それが可能かどうかは置いておいて)無理解も気にならない気がした。