TaketoShigenobu

恋人たちのTaketoShigenobuのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
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2回目
2回目の視聴です。1回目を見た時と特別感想が変わる事はないですが思った事は橋口監督はなんて嫌な人物をつくったり、会話の中に障害をつくるのが上手いのだろうかという事だ。
嫌な人物とは弁護士に相談に来ている女子アナ、リリーフランキー、四ノ宮(これは篤の立場になったらとして)など自分が接したら絶対に嫌だと思う人間性のキャラクターを作っている。
会話の中の障害とは四ノ宮が親友に大事な話をしている時の親友のカーナビいじりや篤が話している時の四ノ宮の空調いじりだ。人が本気になればなるほどこういう対応をされると頭にくる。そういうシチュエーションを作るのが最高に上手い。
相変わらず疑問に思うのは3人の登場人物全員に感情移入できないのは仕方ないものの、果たして全ての登場人物が少しでも希望を見つけられたのだろうか?という事。 篤は全ての手立てを失い、嫁に謝ることで過去とのしがらみを断ち切り、今ある身の回りの小さな幸せに目を向けるようになる。だから鑑賞者の自分は「早く篤気付いてくれ」という感情でいっぱいだった。 高橋に関しては一度家を出て行こうとしている。結果的に失敗して戻ってくることになるが、夫との関係は冷え切っていたと思う。確かに寡黙な高橋の夫の本心を彼女が知ることによってそれが希望になるのかもしれないが、それはどうなのだろうかと思った。
その次は四ノ宮に関しては明確な希望が僕は分からなかったということ。あのウザったい女子アナの結婚を素直に祝福するというのはひとつ前向きになるということなのだろうか。
そういう意味で1回目を見た当時の感想は3人の登場人物の絶望→希望に変わるまでを描くのに尺が足りなかったというものだったが、今回はギリギリ篤だけは足りていたなという感想に変わった。
ただ痛いほど感情が分かるのは四ノ宮である。僕はゲイではないが同じような行動の仕方や感情のコントロールの仕方をしていると思う。彼は元カレに対して感情をコントロールできないとかありえないと言う。しかし実際のところは彼は感情を上手く表に出せない。だから作品の中でなにが起きても決して怒らないし、基本的には笑顔で対応する。それは「僕は怒ってないです。心には余裕があります」と言う意思表示でありそれがすごく伝わってくる。
そして自分の行動に対して凄く理由を持っている。おそらく全ての行動に理由を持っている。何故なら彼はゲイであるということもあり普通なら何気ない行為も相手に勘違いされてしまう可能性があるし事実勘違いされている所為で親友との関係がおかしくなっている。だから彼は細心の注意を払ってずっと親友とその家族との関係を築いてきたであろうし、勘違いされそうな行為には全ての理由を作ってから行ってきたはずだ。にも関わらず結局は親友との関係は壊れてしまう。これでは寂しすぎる。しかし彼は怒れない。この感覚は痛いほど分かる。
異常に四ノ宮に感情移入してしまったが全体として凄くいい作品だと思う。何度見ても思うが終わり方は完璧だ。

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1回目
主な登場人物3人の状況が凄くリアルでまた大学3年生という僕の状況からすると将来自分にもありえるという登場人物もいるので見入ってしまった。
当然の事ながら主人公を1人にしたほうが沢山の時間を使えるのだが、あえて群像劇にする事で今の日本の不条理な状況や感覚を映画を通して共感しやすくなっていたと思う。
本作は、140分と少し長めなのだがそれでも少し足りないと思った。どん底から希望が見える。そういう物語構造なのだが希望が見える明確なシーンは無い。アツシが社員の女の子の優しさから飴玉をもらうように小さな喜びや優しさで人は、生きていける。そっちの方が確かにリアルだとは、思う。けれど突然人生が良い方向に向かうような出来事が起きないにせよもう少しどん底→希望という部分がグラデーションがかかるように変化する所を見たいと思った。

けれど俳優の人達の演技は凄くよく、現実を切り取ったように思えた。生きていて頭のおかしい人は、沢山いる。しかし、もしその人がアツシのようなバックグラウンドを持っているとしたら絶対に批難できない。少しでも他人に寛容になって優しくしようかなと、思える映画だった。