Uske

恋人たちのUskeのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
3.5
妻を通り魔に殺害された男(アツシ)、ゲイの弁護士(四ノ宮)、夫に愛されない主婦(瞳子)、の3人のそれぞれの生きづらさ、絶望感を描いた映画。

総勢20〜30人くらいだろうか、有名でない俳優ばかりを起用した作品だった。
主役の3人のルックスも至って普通。俳優ならではのオーラというか華やかさも一切ない。

でも3人の主役の演技はこれまで観た映画の中でも群を抜いていたと思えたし、とくにアツシ役の演技は、本当に凄いとしか思えなかった。リアルに絶望のさなかにいるひとってこうなるんだろうな、とか自分はまだ甘いなとかいろいろ考えさせられた。
通り魔殺人(被害者家族)にこそ共感できないけれど、その演技だけで泣きそうになった。

絶望感を味わった人、独りでもがくように泣いたことのある人、社会的に歓迎されないことに進んでしまったことのある人には、共感できるところは多いかも知れない。

どちらかというと、不快感を感じるシーンが多く、ストーリーも好きにはなれない。
でも、クソ絶望の中で、映画ならではの白々しいターニングポイントもなく、それでも生きることを決める瞬間の描写は、言葉で言い表しがたいけど素晴らしいと思えた。
Uske

Uske