母とふたり暮らしの漣子(ナミコ)は、家業の定食屋を手伝いながら、介護福祉科に通う専門学校生。友人達とは違い、自分のやりたい事に確信が持てずにいるが、それでも明るく 日々の生活を過ごす 19才の女の子。 幼馴染の千穂子は、子供のような精神年齢を持つ軽度の知的障がい者。漣子と千穂子はまるで姉妹のように育ち、漣子は常に千穂子を気にかけている。そんな二人の前に現れる、東京からやって来た真司。カメラマンとしての夢に行き詰まりを感じていた真司は、千穂子に向ける漣子の笑顔に惹かれていく。そんな真司に次第に心を開いていく漣子。 いよいよ学校の授業だけでなく、実際の施設での介護実習が始まる。現実の介護の現場を目の当たりにして、その厳しさに驚く漣子。自分の進む道に確信が持てぬまま、とまどいながらも激務を何とかこなしていく只々忙しい日々に流されていく漣子は、ストリッパーとして戦後の食糧難を生き抜き、5人の子供を育て上げた老婦人と知り合う。「生きるという事」を、漣子に優しく語りかける老婦人。そして、突然母から告げられる妊娠と再婚話。漣子は自分を見失い、むき出しの思いを千穂子に初めてぶつけてしまう。周囲の人達に支えられながらも、人生の節目で起こる様々な出来事に向き合い、自分が目指すことに次第に価値を見出していく漣子。 自分に足りない物よりも、自分が持っている物。それに向き合った時に、小さな奇跡が産声を上げる。
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