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はじまりへの旅のkisekireiのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.4
「主人公の男性の目線で書かれているので感情移入しちゃうわ。彼女への愛は純粋だから。でも実際には少女を性的暴行している。だから憎いけど、可哀想だとも思う」

作中で少女が「ロリータ」の考察を述べる台詞。
まさに、見てる側はそんな気持ちになる。
すごいなと。
この作品は、哲学です。
幸福とは、生きるとは、学びとは、愛とは…。

旅の途中の違和感も
後半のストーリーへの大切なフラグで、
主人公の脆さや危うさが出ていて、そういうことね、とモヤモヤを解消しましたしなんかスッキリ。

もちろん、英題は「キャプテン・ファンタスティック」なので、ファンタジーな場面も多々ありました。
しかしそれがまた絶妙なスパイスで、むしろ夢の世界みたいに綺麗だなぁって観てしまう。

彼と妻がどんな愛し愛され方をして、どんな問題が生じてきたのか…。
それを思うと胸が締め付けられます。
敢えて描かれていないことを、観るものに豊かに想像させる作品は素晴らしいと個人的に思っています。

日本人も、自給自足やそれに近い田舎暮らしのポツンと一軒家みたいな生活に憧れる反面、子供の将来的にどうなの?と思っちゃったり…

時代や土地が変われば、なんら悪い事ではないし、人の基準ってものすごく曖昧。

ラストの贈り物みたいな言葉も、素敵でした。

こんな視点の映画を待っていた気がします。
とても好きでした。

※ちなみに父親役はグリーンブックのリップ
後から知ってびっくりしました!
全然違うんだもの!
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