コバヤン

はじまりへの旅のコバヤンのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.0
極度なナチュラリスト思想で都会からはなれた森で暮らす家族が、妻の葬式出席の為に子供たちと一緒に旅をするロードムービー。

テーマでもある「家族」を描く手際の素晴らしさ。
”家族的”な日常ってちょっとした事で説明過多になりがち。
しかも、この家族の”あたりまえ”は鑑賞してる僕たちにとっては異世界。
でも、この作品は凄く当たり前に感じさせつつしっかりと”家族ルール”の説明になってる。
焚火を囲む家族がおもむろに楽器を弾き始めるシーンは、子供たちのキャラクターが浮き出ていて面白い。

中盤、旅に出てからはカルチャーギャップ的な面白さはさておき、”資本主義=悪”的なお話しには納めず、”家族ってなんだろ?”っていろんな角度から魅せる。

作品として主人の思想を全般的に肯定せず、どこか大人の都合を子供に押し付けているように見せ、「これって"教育"とか"家族"全般に言えるじゃん。そもそもルールとかマナーって何?」とシニカルに感じさせて来る。

病んだ心の治療に森で暮らし始めた夫婦と、森で暮らすことで心が病んだと思う義父義母とは理解しあうことはなく、家族というミニマムな社会組織の難しさを思わせる。
でもその後の"家族"の”素晴らしさ”や”可能性”を感じさせるエンディングは
涙ポロポロ。。。

妹夫婦とそのバカ息子達のやり取りは対極な人達として登場しつつも、子供同士は仲良くなってそうで夏休みにはお互いの家にお泊りしに行ったり。そんな妄想エピローグができる余韻もあった。
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