ジャックダニエル

はじまりへの旅のジャックダニエルのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
5.0
いかに人間社会が作られた虚構か。
個人の幸せはお金で換算され、人々は意味のないものに気をとられる。
どのように今の社会が形成されたか知ることもなく、自分がいかに全体に統制されているかもわからない。
自らの考えに従って生きるのではなく、周りがそうしているからそうする。
家に帰れば電気があり、食べ物は自分で調達しなくても冷蔵庫にある。

しかし人間は社会的動物である。
社会に適応・進化せねば、好きな人と関係を結ぶことはできず、人生の伴侶の遺言通り葬儀してやることもできない。

つまるところ、真に自由に生きることは難しい。人間社会の嫌なところから逃げようとすれば尊厳ある生き方は不可能になり、人の繋がりを求めれば文化に巻き取られる。


その板挟みの中で、彼らが出した答えは、至極人生のあり方として良いものであると思う。自分に忠実に、尊厳を持って、幸せになること。大切な人を大切にすれば、それ以上のものはいらない。