ジャックダニエル

アリー/ スター誕生のジャックダニエルのレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
3.4
これはグレーテストショーマンのような純粋なミュージカル映画ではなく、ララランドのように人にフォーカスを当てた映画だ。
ブラッドリークーパーが素晴らしい、の一言に尽きる。彼の演技がガガを引っ張っている。彼なしではこの映画は成立しないだろう。

ブラッドリークーパー演じるジャックは、終始アルコール中毒とドラッグ中毒のどうしようもないミュージシャンとして描写されている。
彼をそこまで退廃に追い込むものはなんなのだろう。
アリーが成功したことなのか、アリーが自分を偽ってまで売れていることなのか、幼い頃の悲惨な家庭環境がトラウマとして彼の幸せを奪ってしまっているのか。
おそらくは最後の理由だ。父や兄の音楽に感化され音楽の道に進むも、彼らからは愛を得られなかった。父親は呑んだくれて死に、兄は彼を裏切った。アリーは音楽で彼に音楽の良さを思い出させるが、やっぱりアリーも音楽を理由に彼から離れてしまう。絶望的な孤独を感じ、自らの命をたったのだろう。残されたものの絶望など彼には見えていなかったのだ。