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はじまりへの旅のkuのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.8
何を観ようかなとAmazonプライム漁ってるときに見掛けて、あらすじが気になったので視聴。

観終わった後は、言いたいこともあるし感じたこともたくさんあった筈なのに、1つも表現出来ませんでした。
感情は揺さぶられてるのに、あたしはまだそれを言い表せるほどの経験をしていないな、と。

映像がとても美しいです。開始数秒は間違えてネイチャードキュメンタリー観たかと思ってタイトル確認してしまうくらい。
緑は濃く、空は淡くそれがとても綺麗。
音楽も最後まで素敵なので、ミュージック映画としても楽しめました。

終始家族愛に満ちた作品だと思います。父親のやり方が間違っていただけに、その愛情の純粋さが際立ちます。
愛していたからこそ、子供たちが自分で自分を守れるよう過酷な訓練や、レベルの高い知識を持つことを正とした。
それは確実に子供たちのための行動だったので、やり過ぎだったことは否めないけれど、父親の信念や行動を否定することも出来ないなと思っています。
だからこそ、父親が自分の愛情に疑問を抱きそれを受け容れた流れはとても印象深く残りました。

そして子供特有の不安定さがとても細かく描かれていたかなと思います。
子供であるが故に身の回りに起こることに酷く感情が揺れ動いてしまう。次男の感情の揺れ動きと父親のそれとでは静と動ほどに違います。けれど、受けた衝撃はお互い計り知れないものだったと思います。父親と次男とでは感情の波の飲み込み方が相対的に描かれていて、更にそこに長男の静とも動とも取れる感情の揺れ動きが間に置かれたことで、人はこうやって自分の感情と向き合っていくんだなと思いました。

兎にも角にも映像が本当に綺麗です。音楽もBGMではなく、上手く融合されてて。
小説を読んでいる自分の頭の中を覗き込んでいるような気持ちになります。
幸せです。もう一度観たい。
多分、この作品は2度目が美味しい。
設定や家族間の事情というものが曖昧で説明されていないので、最初は感情移入しにくいです。一通り観た後、そういうことか。と。
だからもう一度観ますね。家族の背景を知った上でもう一度ちゃんと楽しみます。

父親の「愛してなくても 大切にしろ」っていう言葉をこの先もずっと忘れたくないなと思いました。
あたしは、大切にしてこなかった人たちが沢山いるなと緩やかな後悔に襲われています。今側にいる人とこれから出会う人たちを大切にできる人間となりますよう。
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