カミツレ

ハイヒールの男のカミツレのネタバレレビュー・内容・結末

ハイヒールの男(2014年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

タイトルからして興味そそられる。最初は『ハイヒールの男』というタイトルを主演俳優であるチャ・スンウォンは好きになれなかったらしいけど、最終的には気に入っているというその言葉通り、観る前にイメージを膨らませてくれるいいタイトルだと思う。

ストーリーも漫画原作とかでありそうだけど、どうやら完全オリジナルみたい。

戦闘力がずば抜けて高い刑事ジウクの秘密は『女性になりたい』。ジウクは自分の中にある女性性に青年時代から気づいていながらも、世間との狭間で悩み苦しむ。シリアスに描くとけっこうしんどくなりがちなテーマだけど、脚本がいいバランスで重くなりすぎずおもしろく描いているのが特徴的だ。ノワールの中にコメディ要素も取り込み、ジェンダーの世界にもそっと触れる。その塩梅がなかなかよかった。

女性になりたいと願っていた彼が、最終的に選んだのがあの道だったのがよかったのか、悪かったのか、それはきっと本人も結論はなかなか出せないと思う。でも後輩刑事のあの言葉は本当なんだろう。色々なしがらみを解いて彼が納得する、彼が願うような幸せを手に入れてくれたらいいのだけど。

また、彼にメイクを施してあげる美女が謎めいててこの映画における立ち位置など考えてしまった。この美女を演じたイ・エルさんは『トッケビ』でも物語の鍵を握り、一歩引いた場所から登場人物たちを見守る役をしていたけどこういう役がほんと似合う。彼女がラスト、じっとジウクを見つめている時少しでも微笑んでほしかったけど一切笑みはなかった。彼女は彼の決断をどのように見ていたんだろうか。
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