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ハイヒールの男のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ハイヒールの男(2014年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

性同一性障害の男性刑事の話。

主演のチャ・スンウォンはどこかで見た覚えがあると思ったら、『がんばれ!チョルス』に出てた人でしたか。
あの作品で知的障害者を演じたと思ったら、今度は性同一性障害を演じるのですから、振り幅の広い俳優さんですね。

彼の特徴の一つと言えるのが、身長190cm近い大きな体格。
本作では、その長身を活かした華麗な体術を披露しており、彼にしか出来ないアクションシーンを見る事が出来ました。
韓国映画らしい過激でケレンのあるバイオレンス描写もあるし、アクション周りは総じてクオリティーが高かった様に思います。

物語的には「最強の刑事だと思われた男が実は性同一性障害だった」という話でして。
トランスの描き方として適切だったのかどうかは分かりませんが、周囲の人間の何気ない一言に動揺したり、カムアウト出来ない事の苦しみは感じられたかな。
個人的には、女装した主人公がエレベーターに乗るシーンが印象的で。
あの気まずさ、居たたまれなさは、共感性羞恥が刺激されて、本当に見てるのが辛かったのですが、あれもまたトランスが抱える抑圧の表象でもあるのでしょう。

ラストの展開に関しては、多くの人と同様にモヤモヤするものを感じました。
性転換を諦めてしまった理由が謎だし、そもそも性転換を諦められるものとして描いて良いのか?という道義的な問題もある。
別に性転換してハッピーエンドでも全然良かったと思うし、せめて死に際の妄想でも良いから彼の本来の姿を見せて欲しかったですね。
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