十六夜

アリスのままでの十六夜のネタバレレビュー・内容・結末

アリスのままで(2014年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

アリスのスピーチは素晴らしかったです。
この作品は若年性アルツハイマー病になってしまった女性の変わっていく姿が描かれているから、介護はほとんど描かれていません。ヘルパーさんも少しだけだし。
ただ驚くのは家族のドライさ。
旦那さんも聡明な妻が変わっていくのはなかなか理解できないとは思うけど、結構認知症が進んでいるのに、仕事のために環境を変えるかなぁ。
息子にいたっては医療従事者みたいだけど何もしてないし、長女夫婦は結構ひどい。次女の公演会場についての会話も、本人の意思を無視しているし、赤ちゃんを抱かせるのもアリスを親としてみていない。しかも抱いてから「上手ですね」って言う娘婿のセリフも失礼。

次女は元々離れて暮らしていたり、姉と仲も悪いから期待されていない。いい印象はないけど、アリスの変化に少しずつ歩み寄っている印象に変わっていった。
姉と忘れやすくなった母が、公演会場のスペルを聞いてスマホにメモする際も「メモすれば安心なんだからいいじゃない」とスペルを教える。ぶっきらぼうに見えるけど、自分で出来ることを維持しようと必死なアリスにとっては有り難い対応だと思う。

要所要所で思春期に事故で亡くした母と姉との思い出がフラッシュバックするアリス。ラストにも使用されていている。
アリスが必要なのは恐怖と不安、そしてそれさえもわからなくなることを包む優しさや愛だったのかなと思う。
十六夜

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