Masato

ボーダーラインのMasatoのレビュー・感想・評価

ボーダーライン(2015年製作の映画)
4.2
海外では数ヶ月前にBD発売…
と思ったつかの間日本公開が決まってしまった。
まだ構想中ですが、もう続編の案があるんだそうで。

邦題のボーダーラインは、メキシコとアメリカの国境という意味と、善悪のラインの意味がある。

原題のSicario はメキシコではヒットマンの意味だそう。

あらすじを聞くとドラッグ戦争のアクション映画だと思うが、ドゥニ監督だからなのか、とてつもなくリアルでヘンテコで謎が残る映画だった。

終始、誰が敵なのかわからない緊張感と、主人公が何に巻き込まれていくのかが分からない状況がすごくドキドキします。絶対にメキシコ行きたくなくなる。

貴重なアクションシーンも重厚なリアルさで素晴らしい。
グロテスク描写が結構なものなので、見る人は少々注意。

ロジャーディーキンス撮影監督の圧倒的な映像美に必見。


主人公のエミリーブラントが鑑賞者と同じ立ち位置で、エミリーブラントの行動が鑑賞者の思いと重なると思います。

ドゥニ監督のプリズナーズでもそうですが、テーマが難題です。
邦題にもあるように、悪の組織を倒すには自らも悪にならなければならないのか?。悪になってしまったら彼らと同じ。でも、倒すにはそれしかない。
主人公が本能的な善と理性的な悪に悩まされる姿が鑑賞者自身だと思います。

この麻薬戦争は、正義に則っていたらいつまでも終わらないのか?

実際にアメリカでマリファナの解禁がされたのも、メキシコ産のマリファナをアメリカ人に買わせないためらしいです。メキシコのマフィアは、アメリカでのドラッグ販売が大半の収入源らしいですし。

監督らしい「えっ!」という終わり方にもまた考えさせられるし、余韻も残るし、素晴らしいと思います。


ベニチオデルトロがヤバイです。
怪演と言ってもおかしくない。怖い。
Masato

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