Koshii

グレイテスト・ショーマンのKoshiiのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
3.4
明るく、元気が出そうな映画を観ようと本作をチョイス!

序盤からこの作品、自分に合わないんじゃないかと感じつつ、その予感は悲しいかな見事に的中してしまいました、、、


以下、ネタバレや感想を含みます。

マイナスの感想が多いので、その点はご了承下さい。




















「話が薄っぺらいから」ということに収まらず、間違った方向にパワフルなミュージカルを響かせていたことが、個人的には悲惨であった。

ただ自分の欲望を満たすために、利用できるものは全て利用するドリーマー、バーナム。周囲を引き込むカリスマ性は素晴らしいが、果たして彼の心に温かさはあったのか。当初、ユニークな人募集!とはじめた舞台は、彼に偏見や差別は無かったものの、それは単に無関心というだけで、彼らをまるでお金儲けの物としてしか扱っていないように見えた。彼のどこに信頼できる要素があったのかは語られないが、自称ユニークな人達も日の当たる場所で自分を曝け出していいんだという希望を夢見ることができるような、魅力的な場所として映ったのだろう。

バーナムの性格上、ただ夢を追い、成功することに執着し続けるやり方は至極当然と言える。愛する者や、自分を信頼している人すら犠牲にできるその性格は、ストーリーの序盤から余り好きになれなかった。

また、「ユニークな人募集!」のチラシを見て集まった人たちが、見せ物にされると分かっていてバーナムについて行く意味も分からない。自分のそういう個性にマイナスのイメージを抱いていないのならまだしも、結局裏切られたみたいな表情を見せていたので、彼らは一体バーナムの何を見てきたのかと感じてしまった。

バーナムのただ自分の利だけを求め、他者をまるで理解しているかのように驕る姿に全く共感できなかった。さらに、そんなバーナムを馬鹿みたいに盲信したあげく勝手に捨てられたなんて思ったりする舞台の演者に対しても、ズレを感じてしまった。それゆえ、道中の「彼らが何に葛藤しているのか。」という部分に全く心は揺さぶられなかった。上っ面の偽善を取り繕って、『人と違うことを受け入れる事は大事』と説いてしまっているのである。
そして、続くのは逆境に立ち向かう勇気を讃頌せよといわんばかりのミュージカルのオンパレード。

楽曲はどれも素晴らしいのに、本編にあまり良い印象を抱かなかったせいで、聴く度にそのシーンがチラつくのが非常に残念である。


バーナムのキャラクターが苦手だから本作が気に入らなかったという訳では決してなく、舞台の演者の行動がチグハグすぎる点に納得いかなかったことが評価を下げる大きな要因である。
Koshii

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