かーくんとしょー

グレイテスト・ショーマンのかーくんとしょーのネタバレレビュー・内容・結末

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ドイツ行きの飛行機内で鑑賞。
公開中から観たかったが観られずにいたので感謝。

貧しい家に生まれた主人公が身分違いの恋をして駆落ち。全面的に支えてくれる妻。子どもも生まれ、貧しくも幸せな暮らし。
勤め先が潰れるも、それを転機に変える。さらに斬新なアイディアできっかけを掴み成功するも、先進的すぎるがゆえに迫害を受ける。
それでも共に歩む仲間を得て、コネクションを生かしながらさらなる成功を掴むも、段々と初志から方向性がズレていき、成り上がりのコンプレックスから上流階級的な名声を求める。
これにより当初の仲間たちとの距離感が生まれ始めたところで運命に見放されて全てを失いかけ、ようやく本当に大切なものに気付く。
主人公を見捨てなかった仲間たちと一から出直し、三度の成功を掴んでめでたしめでたし。

ストーリーは典型的なアメリカンドリームで好みが分かれるだろうし、実話ベースなので脚本の評価は難しいが、時代背景を考えればこれが実話とはものすごい話。
アメリカ人の美点は、やり遂げた人間に対して称賛を惜しまない姿勢。だからこそ後に続いて切り拓く人間が次々と現れるんだろう。

ヒュー・ジャックマンはこの手の「選ばれし男」を演じればピカイチ。だって普通じゃないんだから。
驚いたのはザック・エフロンとゼンデイヤ。二人とも、本作がポップスターから脱皮する足がかりになるかも。

この他にも、貧しい中でも気品を失わない奥さん役のミシェル・ウィリアムズ、名オペレッタを演じてもそれさえ乗り越えていく美しきレベッカ・ファーガソン、ミュージカル本職としてその歌唱力を世界に知らしめたキアラ・セトルと、賛辞を送るべき好演者だらけ。
こうしたキャスト個々人の非常に高いパフォーマンスを邪魔することなく、最大限に生かすためには、典型的でわかりやすいアメリカンドリームのストーリーは最高の受け皿だったと言えるだろう。
だが元々は実話としてストーリーが先にあったとなると、やはり最大の拍手を送られるべきキャスティング及び最高のパフォーマンスをしたキャストたちに他ならない。

繰り返しになるが、本作はアメリカンドリームの典型ということで真新しさがあるタイプの作品じゃない。
しかし、だからこそ極限まで高められたパフォーマンスに集中でき、映画ではなくさながらサーカスを観ているような感覚に誘われる。

サーカスの空中ブランコが無事成功した時、オリンピックの100m走決勝を見る時、偉大なる歌手の歌声を生で聴く時、歴史的絵画を眺める時、人間は、同じ人間が成し遂げる最高のパフォーマンスに出会えたことに限りない喜びを感じる生き物だ。
本作で限りなくファンタジーのような現実を目の当たりにしたとき、鑑賞者はそんなことを感じるのではないだろうか。

written by K.
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