かたゆき

ブルックリンのかたゆきのレビュー・感想・評価

ブルックリン(2015年製作の映画)
2.5
1950年代のアイルランド。
長年にわたる不況により碌な仕事も見つからないこの国で、年老いた母と事務員として働く姉とともに暮らす若い女性エイリシュ。
閉塞感漂うこの国に嫌気が差した彼女は、心機一転、アメリカへと移り住みことを決意する。
母と姉に別れを告げ、単身アメリカ行きの船へと乗り込んだエイリシュは多くのアイルランド系移民が暮らすブルックリンへとやってくるのだった。
支援してくれる神父の助けもあってデパート店員という職も得た彼女、夜は簿記の資格を取るために大学へも通うことに。
そんな忙しい毎日を過ごすエイリシュはある日、心優しいイタリア系移民の青年と恋に落ちる。
だが、そんな充実した日々を送る彼女の元に、故郷から悲しい知らせが届くのだった――。
夢を抱いて単身アメリカへとやって来た若い女性の青春の日々を瑞々しい映像で描き出すヒューマン・ドラマ。

オーソドックスな題材ながら全体に漂う上品な雰囲気や美しい音楽、そして何よりシアーシャ・ローナンをはじめとする役者陣の自然な演技によってなかなか品のいい佳品に仕上がっていたと思います。
主人公が身を寄せることになる寮の住人達もみな魅力的だし、世間慣れしていない彼女の不器用な恋の顛末も見ていて微笑ましい。
船の中で受け取った助言を最後、成長した主人公が後輩へと受け継ぐという流れも自然でうまい。

まあ連続テレビ小説みたいではあるけれど、これはこれでいいかもと見ていたのですが…。
やっぱり引っかかるのは、主人公が故郷へと帰ってからの展開でしょう。
すぐに帰るからとアメリカの恋人に誓ったのに、彼女は故郷で再会したかつての友人にも惹かれてゆくのです。
彼への手紙も返さず友達カップルと一緒にダブルデートしたりするエイリシュ、でもアメリカに恋人がいることはひた隠しにします。
え、ちょっと待ってください、これって完全に二股ですよね?
なのに最後、嫌みなおばはんにそのことがバレると「忘れてたわ。ここはそういう街だった」とアメリカへ帰ることを決意するって…。
いやいや、そんなんアメリカで散々待ちぼうけを食らってたあの彼氏からしたら、「俺への愛情を取り戻したから帰ってきたんちゃうんかい!!」と腹立ってしゃーないと思うんですけど(笑)。
少なくとも僕ならそう思います。

前半の展開は良かったけれど、後半の主人公の自己チューっぷりが気になって僕はどうもダメでした。
星2.5!
かたゆき

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