ayumi

ブルックリンのayumiのレビュー・感想・評価

ブルックリン(2015年製作の映画)
4.4
I'd forgotten what this town is like.
色々と他人事と思えなかった。閉塞的な田舎町から外へ出て新天地が帰る場所になって、でもなんとなくどこにも本拠地がない感じ。前半で不安や寂しさ息苦しさがしっかり描かれてるのが良かった。
2回目の再生でアイルランドのビーチのシーンでも"I'd forgotten"って言っていて、上の台詞と対になってるのに気付いた。

ミス・ケリーは町の人の本音を喋らされてるキャラクターだと思う。町の空気や隠れた悪意や自由な世界への嫉妬をミス・ケリーが過剰に言語化することで、エイリーシュがそれに立ち向かう映画的な描写ができる。最後にエイリーシュが船の進む方に向き直るところが"this town"への決別という感じで力強くて好きだ。

私の中のウィーズリー家の血はずっとドーナルグリーソンを選べ!と叫んでました。かっこいい。彼が手紙を読むとこに埃が舞うシーンは、国に残る側としてのこれからの苦悩の日々を暗示しているようで辛かった。


一人暮らしを始めたばかりの頃に帰省し、翌日実家を出発するという時、何気なく母に「明日10時の電車で帰るわ」と言ったら、「『帰る』じゃなくて『戻る』でしょ」と言われたのを思い出す。
というかこんなに感情移入してしまうのは、先日私にとってのミス・ケリー的な人たちにいろいろ言われたことを引きずってるからかもしれない。うるせー、っていつかガツンと言い返したいなあ。
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