りょう

ゴースト・イン・ザ・シェルのりょうのレビュー・感想・評価

3.4
 約5年ぶりに観ました。「攻殻機動隊」の世界観は好きですが、原作のコアなファンでもありません。この作品は、1995年の「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」の印象的なシーンを実写で再現しつつも、物語の本質はまったく別物です。
 アニメのオリジナル版は、ほとんど登場人物の紹介もなく、“人形使い”の事件の顛末が描かれるので、僅か85分の尺にもかかわらず、そこで活躍する草薙素子の貫禄と存在感が作品そのもののクオリティを向上させています。
 この作品は、草薙素子が自身の出自をめぐるサスペンスの要素が主軸になっています。彼女がパーソナリティに戸惑いを感じるシーンが多いので、エリート捜査官としての言動にもブレが目立ちます。それはそれで悪くありませんが、物語を再構築するのなら、あえてオリジナル版のシーンを再現する必要はなく、もっとオリジナリティを強調すべきでした。
 そもそもアニメと比較することがナンセンスだし、スカーレット・ヨハンソンの体形もあるのかもしれませんが、少佐の光学迷彩のボディスーツがぽっちゃりしたビジュアルで、「アベンジャーズ」シリーズのようなキレが感じられませんでした。草薙素子という強烈なキャラクターを違和感なく演じられる女優さんは…日本でも海外でも、すぐにはイメージできません。
 ビートたけし扮する荒巻だけが日本語のセリフで、英語と日本語の会話のシーンは、どうにも普通のコミュニケーションではありません。おそらく電脳で自動翻訳されているので、映画の理屈としては問題ないのかもしれませんが、かなり違和感がありました。
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