つくし

攻殻機動隊 新劇場版のつくしのレビュー・感想・評価

攻殻機動隊 新劇場版(2015年製作の映画)
4.2
観た直後の感想は正直ガッカリしたってのが本音だけど。今までの攻殻作品の引用が多過ぎて「新劇場版」というには、ネタが古くねえか?3Dでも2Dでも目新しい演出、感心する様な線密な作画も無い。ストーリーは前ARISE4作品の内容を知っている事が前提の極めてマニアックなもの。今作だけで映画としてまず完結してない。
…とまあ、批判は此くらいにして、誉めるべき点も列挙します。
アニメ化された攻殻作品の中でポリティカルアクションとしては一番出来がいい。メインストーリーに絡まない無駄な演出、台詞は極力排され、物語は客を多少蔑ろにしながらもドンドン進んで気持ちがいいし、ドラマとアクションのバランスも絶妙。(とは言っても前半と後半のテンポ違いすぎやしません?笑。前半正直ダルい笑)聞き慣れない単語が飛び交う、情報過多な会話劇も電脳化されてない私達の脳を刺激し、拡張するにはちょうどいい。最近の眠りが浅くてお困りの方にもちょうどいいけど笑。(夏恒例のハリウッド式ノータリンビックバジェット映画が例年になく立て続けに公開される今年にあって、この映画の在り方は時代にあってるかはどうかは知らないけど、思考力の回復には一役買ってると思う。まあ、石川社長の目論見は全く違うと思うけど笑)
又、驚くべき事にテーマが一貫してブレていない点も好印象。一応の決着、観客の溜飲の落とし方は流石、冲方丁だなーって。
前述した様に過去作品の引用も多く、攻殻マニアをニヤニヤさせるくらいには演出にお楽しみ要素が詰まってる。特にラストらへんはあらかさまだけど良い。←今作に限らずARISEのラストはほっこりする。押井や弟子の(以下略)には無かった体温が感じられて好印象なんですよね私には。(トグサ好きになるぜ黄瀬版攻殻は!)
話が脱線しまくってますが何回も見るに値する、噛めば噛む程味の出るスルメ的な作品。最低ARISE前4作品、出来ればテレビシリーズ、前劇場版二作品を見てから楽しむのが良いかと。面白さ100倍とは言わないまでも10倍くらいにはなるからさ。
(あーでもあすこ超不満。ライゾーが何かよく分かんないうちに◯◯れるあのシーン。雑過ぎません?アクションが速すぎて俺の目が追えてないだけ?あっ、もしかして目を盗まれた?笑)
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