"目を閉じて、飛べ"
→このセリフが好きだったのにリメイクでなかった…
【STORY】
自分以外の家族3人が聴覚障害を持つ農家の家庭で育ったが、自分は歌を聴くのが大好きな主人公ポーラ。彼女は合唱クラブで才能を見出され、厳しいトマソン先生のもとで歌の特訓を始めるが…?
【感想】
《歌う映画3貫》1貫目
アカデミー作品賞映画『コーダ あいのうた』の元ネタ。おおよその脚本も、個性的な家族のキャラクターも今作の段階で既に出来上がっていた名作だから、元祖である今作の存在ももっと世間に知られると嬉しいな…。
誰かがそこまで悪いわけでもない、ただ環境によって板挟みになる主人公の苦悩と、それがどう解消されていくかを描く。ドラマチックな展開もあるが、基本的に地に足がついているのが感情移入しやすい。
家族とぶつかり合ったり恋をしたりしながら学校で自信を育てて自立していく思春期の少女(やそれを見守り複雑な心境の家族)、歌での好成績を目指す学生を描く点では過度に家族の聴覚障害は関係なく、でも耳に聴こえない音楽を選んだことで家族とぶつかり合うのは家族に障害がある家庭ならでは。やっぱり普遍性と独自性の両方を併せ持つ物語は心を掴む力が強いと感じる。
『コーダ』ももちろん悪くはないけど、今作の選曲がとにかく素晴らしくて、名師匠らしい先生のキャラクターも本当に印象的。"走る"という行為を無理ない展開のさせ方で使う演出がすごく良かったりもするんだけど、その辺りの魅力はリメイクで減ってしまった感があって少し悲しかった。
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観た回数:3回