夫のDVに脅かされている若妻（朝倉ことみ）が、自宅監禁中に侵入してきた強盗犯の男（川瀬陽太）と歩調を合わせていく。人間の暴力性の表出を描いている、オーピー配給のピンク映画。
オーピー製ピンクが「デジタル撮影、シンクロ録音」に完全移行した時分の作品。夫に報復攻撃を仕掛けた若妻と、訳あって婦女暴行犯の立場になった中年男が、傷の舐め合いを展開させていく。
カルトに入信した旧友（涼川絢香）、パペットで表現された醜い姿の飼い犬、被虐待者の舌が伸びていくトリップ描写など、随所に見どころが用意されている。とりわけ、主演男優・川瀬陽太の佇まいが素晴らしく、どことなく韓国映画の影響が感じられる。
しかしながら、ピンクの枠組みから大きく逸脱しているため、「奇を衒いすぎではないか」という困惑状態に見舞われてしまう。取って付けたような電車内カットも、インパクトが希薄になっている。
